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会社側がうつ病休職者にして欲しくないこと

日々面談の依頼が入ることにとても感謝しています。

そんな中久しぶりに悲しみと怒りと無力感などでモヤモヤしました。

カウンセラーとして、人として、相談者の方をとても大切に思っているのに

うつ病の人を呼び出さないで治らないから
皆が個人の幸せを大事にしてくれたらいいのに

病気なのにどうして呼び出すの?

社員が急に休むのは会社にも損失があります

だからできれば休んで欲しくない、働いて欲しいと思うのは当然です

ただ身体的なケガや病気にしてもメンタル不調にしても

休まなくてはならない時はありますよね

 

私は企業の健康管理部門にいたので

社員がお休みする時の対応をいくつも経験してきました

 

今はカウンセラーとして独立して会社の外の人になったおかげで、

さまざまな会社の対応があることを経験しています

 

 メンタル不調者の対応のポイントはいくつかありますが、

それはまた別の機会にして

 

今回かなり悔しかった1点

休職中の社員を安易に会社に呼び出さない!!

です

 

がんで入院して化学療法中の人を呼び出しますか?

交通事故で全身打撲と足を骨折した人を呼び出しますか?

たぶんどの会社の方も呼び出しはしないと思います

様子がどうしても知りたかったら家族に聞くか

お見舞いに行って本人と話をするでしょう

 

なのになぜ皆さん平気でうつ病で自宅療養中の方を

躊躇せず会社まで呼び出すのでしょう?

 

私の最も自信のあるうつ病回復の面談で

手応えが今ひとつなのはどうしてだろうと思っていました

この方は数か月たって最近気づいたと言います

 

「(約半年前に)会社に呼び出されて面談して以来

それ以前と比べてやる気が出なくなりました。」

 

えーっ?????

私が初めてお会いした直後に

もうその面談がセッティングされており

止めようがなかったのです

悔しくてたまりませんでした

 

この方はその面談当日

がんばって会社近くまでたどり着いたものの

苦しくてなかなか会社に入れなかったようです

 

そして上司、人事担当、産業医に囲まれる形で

いろいろ質問され感情的になってしまったようです

人前で恥をさらしてしまったことに落ち込み

10日以上眠れない日々になりました

薬は増え、家族との時間は何もできず

休み始めより辛かったようです

 

これは治療の妨害なのではないでしょうか?

化学療法の注射針を引っこ抜くのと

骨折したまま歩かせるのと

同じなのです!!

 

主治医が自宅療養が必要と診断書を書いていて

患者である社員もその通りちゃんと休養しているのに

なぜそれを無視して会社は呼び出すのでしょう?

 

呼び出された人は迷い苦しみます

つらくても呼び出されたら

イヤとは言えず行ってしまいます

クビになったら困るからです

自宅療養していても会社の管理下なのでしょうか

 

呼び出して満足するのは会社

その後ダメージを受けて引きずるのは社員

悲し過ぎます

 

うつ病になった社員の気持ちわかりますか?

社員の側からすると

うつ病になって職場の皆に迷惑をかけてしまったということで

すごく遠慮があります

 

病気になってつらいのは自分なのに

がん患者は周囲から同情されることが多いのに

うつ病患者は周囲に恐縮していることが多いのです

 

うつ病になるきっかけは

過労や職場の人間関係がかなり多いです

そのきっかけとなった場所に呼び出され

本当は会いたくない緊張する人たちに会わなくてはいけないのです

 

その時間、その場所に

心身にムチを打って向かうのです

 

判断力が鈍っているので

面談の内容によっては

質問されるひとつひとつに答えるために

エネルギーを使い消耗してしまいます

 

無事面談が終わっても内容を思い起こして

なかなか良い方に解釈できないので

すごく不安になります

 

安易に呼び出すことで

回復の妨げになることを理解していただきたいのです

 

その人の人生を左右してしまっているということを

忘れないで欲しいのです。

 

周囲の協力がなければうつ病は回復しません

かといって最終的には会社に戻ることになるので

面談しないわけにはいきませんね

 

その人のことを良く理解している人に

そのタイミングを任せてほしいのです

 

それが私たちカウンセラーの役割でもあります

 

1か月に1回必ず呼び出す会社

3日に1回上司が電話してくる会社

週に1回会社に電話をかけさせる会社

通院後すぐに会社に寄らせて結果報告をしなくてはいけない会社

いろいろあります

 

私は企業の保健師の時代

「何かあったら必ず連絡くださいね」と本人を信じて任せていました

他の時間を会社にとらわれず自由に過ごして欲しかったので

 

こう伝えるとほとんどの方は

自分の電話できそうなタイミングで

話してみようという気分の時に

必ず連絡をくれました

 

うつ病の休養は

自由に解放することがとても大切です

会社の都合で縛らないで欲しいのです

 

人事担当、上司、産業医そしてカウンセラー

それぞれの役割をお互いに理解して

うつ病の回復を助けたい

 

お読みいただきありがとうございます